部室のドアの前で入るのをためらっている学生と、中で気まずく黙っている数人

サークルクラッシュはなぜ起きる?|居場所が1つしかない人から壊れる

「あの人がクラッシャーだった」で片づけると、次も同じことが起きます。壊れているのは誰かの性格ではなく、そこにいる全員が同じ1つの場所にしか居場所を持っていない、という状態のほうです。

サークルクラッシュは「誰か1人のせい」では説明できない

サークル内の恋愛がこじれて、活動そのものが成り立たなくなる。この現象には「サークルクラッシュ」という名前が付いていて、原因になった人を「サークルクラッシャー」と呼ぶ言い方もあります。

ネット上の記事の多くは、この「クラッシャー」がどんな人かを特徴で並べます。読み物としては面白いのですが、当事者にとっては役に立ちません。特徴に当てはまる人がいても崩れないサークルはあるし、誰も悪くないのに崩れるサークルもあるからです。

見るべきなのは、同じ出来事が起きたときに壊れる集団と壊れない集団の違いのほうです。

リナ

毎年見てるけど、崩れるサークルってだいたい決まってるんだよね。

誰が入ってきたかより、その前からどうだったか。

壊れるのは、そこが全員の唯一の居場所だったとき

崩れるサークルには、ほぼ共通の条件があります。メンバーの人間関係が、そのサークルの中で完結していることです。

授業で話す相手も、昼を食べる相手も、休日に会う相手も同じ顔ぶれ。この状態だと、サークルは「週に数回行く場所」ではなく「大学生活そのもの」になります。そこで恋愛が1件起きると、当事者2人の問題では終わりません。

  • 相談を受けた側は、もう片方と気まずくなる
  • どちらの味方かを、周囲が勝手に判断しはじめる
  • 別れた後、2人を同じ場に呼べなくなる
  • 呼ばない判断をした人が、今度は責められる

1件の恋愛が、全員の予定と人間関係に波及します。逃げ場が無いからです。

人間関係が1つの集団に集中している状態と、複数に分散している状態の比較

逆に、大人数で入れ替わりがあり、それぞれが別のコミュニティも持っているサークルでは、同じ出来事が起きても「そういうこともあった」で流れます。当事者以外にとって、そこが人生の全部ではないからです。

壊れているのは人間関係ではなく、逃げ場の数です。

ユウタ

じゃあ何、仲良くなりすぎたら駄目ってこと?

それはそれで寂しくない?

リナ

仲良くなるのはいいの。

問題は、そこ以外に行くところが無くなること。

仲がいいことと、依存してることは別だから。

付き合った時点で決まっていること

サークル内の人と付き合うとき、多くの人は「うまくいくかどうか」を考えます。考えておくべきなのは、その手前にある条件のほうです。

別れた後も、同じ部屋に週に何度も居合わせる。 これが確定します。

学外で出会った相手なら、別れた後は会わない選択ができます。サークル内だと、会わないためには活動に行かないしかありません。つまり、関係が終わったときに払うコストが「失恋」だけで済まず、「居場所」が乗ります。

さらに、片方が来なくなると、周囲は理由を察します。察したうえで、残ったほうに気を遣うか、来なくなったほうに連絡するかを選ぶことになる。当事者が望んでいなくても、周囲が巻き込まれる構造です。

巻き込まれる前に:居場所を2つにする

構造が原因なら、対策も構造で打てます。やることは1つです。サークル以外の居場所を、平時のうちに作っておく。

これは「サークルを大事にするな」という意味ではありません。何かが起きたときに、行き先が1つしか無い状態を避けるということです。

  • サークル以外に、週1回以上顔を出す場所を1つ持つ(バイト・語学クラス・別の集まりなど)
  • サークル内に、恋愛関係とは無関係に話せる相手を2人以上つくる
  • サークルの人以外と連絡が取れる状態を保つ(連絡先がそこ経由しか無い状態にしない)
  • 活動に行かなかった週があっても平気か、一度試してみる

最後の項目が効きます。1週間行かなかっただけで落ち着かなくなるなら、その時点で居場所が1つに寄っています。何も起きていない今のうちに気づけるかどうかが分かれ目です。

サークル自体が合わなくなってきた場合の考え方は、サークルを辞めたいときにまとめています。

すでに始まっているときの動き方

気まずさが出はじめてから読んでいる人向けに、順番を書きます。

まず、どちらの味方かを表明しない。 表明を求められることがありますが、応じると当事者間の対立が周囲に拡大します。「両方と普通に話す」という立場は、その場では煮え切らなく見えても、後から一番残ります。

次に、頻度を落とす。辞めるのは後回しにする。 行く回数を減らすだけで、当事者からも周囲からも距離が取れます。辞めるのは、居場所が他にできてからでも遅くありません。順番を逆にすると、人間関係ごと一度に失うことになります。

そして、別の場所で時間を使う。 気まずいサークルのことを考えている時間が減るだけで、判断が落ち着きます。

ハル

行かないと「あいつ逃げた」って思われそうで、それが嫌で結局行っちゃうんだよな。

リナ

それ、行っても言われるよ。

どっちにしても言う人は言うから、自分が消耗しないほうを選んだほうが得。

「クラッシャー」と呼ばれた側にも起きていること

もう一方の視点も書いておきます。名指しで責められる側になることがあります。

複数の人から好意を向けられた結果として集団が荒れたとき、原因は「向けられた側」に置かれがちです。断り方が悪かった、思わせぶりだった、という言い方で。ただ、好意を向けるかどうかを決めたのは向けた側であって、受け取った側が全部を制御できるわけではありません。

とはいえ、呼ばれてしまった側にできることはあります。個別に長時間の相談を受けないことです。2人きりで深い話を重ねると、本人にその意図が無くても特別扱いとして受け取られ、他のメンバーからもそう見えます。話は複数人がいる場でする、返信の量を人によって変えない、といった運用で、誤解の余地はかなり減らせます。

責任の話ではなく、消耗を減らすための実務として書いています。

まとめ:壊れたのは人間関係ではなく、逃げ場の数

サークルクラッシュを個人の性格の問題として読むと、次に同じ場所に入ったときにまた同じことが起きます。見るべきなのは、その集団が1人あたり何個の居場所を許しているか、です。

論点結論
原因誰かの性格ではなく、人間関係がその集団の中で完結していること
壊れやすい条件少人数・入れ替わりが無い・全員にとって唯一の居場所
付き合う前に見ること別れた後も同じ部屋に居合わせ続けるという条件
予防平時のうちに居場所を2つにする。1週間行かなくても平気かで測れる
起きた後味方を表明しない → 頻度を落とす → 別の場所で時間を使う。辞めるのは最後
名指しされた側個別に長時間の相談を受けない。話は複数人がいる場でする

居場所が1つしか無い人から順に、巻き込まれます。 逆に言えば、2つ持っている人はそもそも当事者になりにくく、なっても回復が早い。

サークルとの距離を実際に取る段階に入っているなら、サークルを辞めたいときと、伝え方をまとめたサークルを辞めるLINE例文が使えます。

よくある質問

サークルクラッシュとは何ですか?

サークル内で起きた恋愛やその破局をきっかけに、人間関係が悪化して集団としての活動が成り立たなくなる現象を指す俗語です。特定の誰かを指す「サークルクラッシャー」という言い方もありますが、同じ出来事が起きても壊れないサークルはあるので、個人の性質だけでは説明がつきません。

サークルクラッシュが起きやすいのはどんなサークルですか?

人数が少なく、メンバーの人間関係がそのサークルの中で完結している集団です。全員にとってそこが唯一の居場所だと、恋愛が1件起きただけで全員の生活がその1件に左右されます。逆に、大人数で入れ替わりがあり、各自が別のコミュニティも持っている集団では同じ出来事が起きても崩れにくくなります。

サークル内の人を好きになったら、諦めるべきですか?

諦める必要はありませんが、別れた後も同じ部屋に週に何度も居合わせることになる、という条件は先に見ておいてください。付き合うかどうかより、うまくいかなかったときにどちらかがサークルを失う構造になっていないかのほうが、後から効いてきます。

すでに気まずくなっているサークルは、辞めるしかないですか?

辞める前にできることがあります。関わる頻度を落とす、参加する活動を選ぶ、別のコミュニティで時間の重心を移す。居場所がそこしか無い状態で辞めると、人間関係ごと失うので判断が重くなります。先に外側を作ってから決めるほうが、選択肢が増えます。

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