
文系・IT未経験でも2週間で作れるガクチカ|AIで開発して「課題→仮説→検証」を語る方法
「アプリを作りました」はガクチカになりません。面接官が聞きたいのは、何に困っている人を見つけて、何を確かめるために作り、結果どうだったか、です。AIのおかげで、作る部分はもう文系にとっての壁ではなくなりました。
先に結論を書きます。AIを使えば、文系でも2週間で小さなツールは作れます。ただしガクチカの中身はツールではなく、「課題発見→仮説→開発→結果→分析」の記録です。 2週間のうち、コードを書く(AIに書かせる)のは5日程度。残りは、困っている人を見つけて数字を測り、作ったものを使ってもらって、その数字がどう変わったかを確かめる時間に使います。
ガクチカで見られるのは「作ったもの」ではなく「考えた順番」
AIに指示を出して雰囲気でコードを書かせる開発は「バイブコーディング」と呼ばれます。これで何かを作ること自体は、もう珍しくありません。だから**「アプリを作れました」だけでは、他の学生と差がつかない**のです。
面接官がガクチカで確認しているのは、入社後に同じ動き方ができるかどうかです。この記事では、その動き方を次の5段階に分けます。
| 段階 | やること | 面接で語れること |
|---|---|---|
| 課題発見 | 身近な「面倒」を見つけ、今の状態を数字で測る | なぜそれを選んだのか |
| 仮説立案 | 「原因は〇〇なので、△△すれば数字が変わる」と書く | 何を確かめようとしたのか |
| 開発 | 要件定義をして、AIにコードを書かせる | 何を作り、何を作らなかったか |
| 結果 | 実際に使ってもらい、同じ数字を測り直す | どれだけ変わったか |
| 分析 | 仮説が当たった/外れた理由を考える | 次に何を変えるか |

開発は5つのうちの1つでしかありません。 文系の学生が強みを出せるのは、むしろ前の2つと後ろの2つです。

ユウタ
とりあえずすごいアプリ作れば勝ちじゃないの?

ミオ
面接官は機能の数より「なぜそれを作ったか」を3回は聞いてくるよ。
答えが「作れそうだったから」だと、そこで終わり。
2週間の全体スケジュール
1日2〜3時間、授業やバイトの合間に進める想定です。
| 期間 | 段階 | ゴール |
|---|---|---|
| 1〜3日目 | 課題発見 | 困っている人に話を聞き、今の状態を数字にする |
| 4日目 | 仮説立案 | 仮説を1文で書き、成功の基準を決める |
| 5日目 | 要件定義・環境準備 | AIに要件定義書を作らせ、VS Codeを入れる |
| 6〜10日目 | 開発 | 1日1機能ずつ作り、毎回動かす |
| 11〜13日目 | 結果 | 実際に使ってもらい、同じ数字を測り直す |
| 14日目 | 分析 | 仮説の当否と次の改善案をまとめる |
使ってもらう期間を削らないでください。 開発が延びると、真っ先に削られるのがここです。結果がないと、ガクチカは「作りました」で止まります。
課題発見と仮説:身近な「面倒」を数字にする
題材は大きくなくて構いません。むしろ自分が当事者として関われる、小さな面倒のほうが、2週間で結果まで届きます。
- サークルの練習の出欠を、毎回LINEで聞いて手作業で数えている
- バイト先のシフト希望が紙とLINEに散らばっている
- ゼミの発表順や担当決めが毎回長引く
見つけたら、今の状態を数字で測ります。かかっている時間、回答してくれる人の割合、聞き直しの回数などです。たとえばサークルの出欠なら「集計に毎回40分かかる」「締切までに答えるのは6割」のように書きます。
当事者には必ず話を聞いてください。面倒だと思っているのが自分だけなら、そこは課題ではありません。
仮説は次の型で1文にします。
(誰)は(何)に困っている。原因は(なぜ)なので、(何をすれば)(どの数字が)(いくつに)なるはずだ。
例:「サークルの幹事は出欠集計に毎回40分かけている。原因は回答がLINEのトークに散らばることなので、1画面で回答・集計できるページを作れば、集計は10分以内、締切までの回答率は8割になるはずだ。」
成功の基準を先に決めておくのが大事です。後から決めると、どんな結果でも「成功」と言えてしまいます。
要件定義:細部はAIに書かせ、決めるのは3つだけ
要件定義とは「何を作るか」を開発前に文書にすることです。細かい項目はAIに書かせて構いません。あなたが決めるのは、誰が使うか・何ができれば仮説を確かめられるか・何を作らないか、の3つだけです。
ChatGPT、Claude、Gemini など普段使っているチャットAIに、次のように投げます。
あなたは経験のあるシステムエンジニアです。プログラミング未経験の大学生が2週間で作る小さなツールの要件定義書を作ってください。
【使う人】(例:サークルの幹事1人と部員30人)
【困っていること】(課題発見で測った数字も書く)
【確かめたい仮説】(仮説の1文を貼る)
条件:
・HTML、CSS、JavaScript だけで作れる範囲にする。ログイン機能やサーバーは使わない
・機能は「必須」と「今回は作らない」に分けて書く。必須は3つまで
・画面ごとに、表示する項目と操作を箇条書きにする
・仮説を確かめるために、何を記録すべきかも書く
・専門用語には、初心者向けの説明を1行添える
出てきた要件定義書は、「今回は作らない」の欄を必ず読んでください。ここを自分で増やせるかどうかが、2週間で終わるかどうかを分けます。完成した要件定義書は requirements.md という名前で保存しておきます(開発のときにAIへ渡します)。
開発環境の準備:VS CodeとAIツールの選び方
VS Code を入れる
コードを書くためのエディタです。無料で、Windows でも Mac でも使えます。
- Visual Studio Code の公式サイトからダウンロードしてインストールする
- 左の拡張機能アイコン(四角が4つ並んだマーク)を開き、「Japanese Language Pack」を入れると表示が日本語になる
- 同じ画面で「Live Preview」(Microsoft製)を入れる。作ったページをVS Codeの中ですぐ確認できる
- デスクトップなどに作業用のフォルダを作り、「ファイル」→「フォルダーを開く」で開く
AIツールは無料から始めていい
| 無料で始める | 有料で速くする | |
|---|---|---|
| 例 | GitHub Copilot Free(VS Code に組み込み) | Cursor、Claude Code、Codex など |
| 費用 | 0円。月ごとの回数に上限あり | 月20ドル前後のプランが多い |
| 向いている人 | まず1本作ってみたい | 回数を気にせず直したい |
無料なら、VS Code 右上のチャットアイコンから GitHub アカウントでサインインすると、Copilot のチャットが使えるようになります。チャット欄で「エージェント」モードを選ぶと、AIがファイルの作成や書き換えまでやってくれます。
学生は、GitHub Education の学生認証を通すと有料プランを無料で使える場合があります。 料金と無料枠の上限は変わるので、契約前に各サービスの公式ページで確認してください。有料ツールに課金するなら、開発する5日間だけの1か月分で足ります。
開発:AIに1機能ずつ頼んで、その都度動かす
開発で失敗する典型は、要件を全部まとめて渡して、一度に作らせることです。動かなかったときに、どこが悪いのか分からなくなります。
最初の指示はこうします。
requirements.md を読んでください。この要件のうち、必須機能の1つ目だけを index.html の1ファイルで作ってください。
まだ他の機能は作らないでください。作ったら、私がどう動かして確認すればいいかを3行で説明してください。
あとは次の繰り返しです。
- AIが作ったら、
index.htmlを右クリックして「Show Preview」で開いて触る - 思った通りに動かなければ、何をしたら、何が起きて、本当はどうなってほしいかをそのまま書いて返す
- エラーが出たら、表示された文をそのまま貼る(自分で要約しない)
- 動いたら次の機能へ進む
動いた時点で、フォルダごとコピーして日付を付けて残しておきましょう。 次の変更で壊れても、そこに戻れます。
完成したら、使ってもらうために公開します。GitHub Pages のような無料の公開サービスに置く手順も、AIに「初心者向けに1手順ずつ」と頼めば教えてくれます。

ハル
赤い文字がいっぱい出てきた……もう無理かも。
エラーは失敗ではなく、AIへの次の指示の材料です。貼って返すだけで、たいてい直ります。
結果と分析:使ってもらい、仮説が外れた理由まで書く
11日目からは、実際に使ってもらいます。測るのは、課題発見で測ったのと同じ数字です。
結果は、そのまま書きます。たとえば「集計は40分から8分になったが、回答率は6割から7割にしか上がらなかった」。ここからが分析です。
- 回答率が伸びなかったのは、ページのURLがLINEのトークに流れて見つけにくかったからではないか
- 次は締切前日にリマインドを送る機能を足せば、8割に届くのではないか
仮説が外れた部分こそ、面接で深掘りされたときの強い材料になります。 理由を自分で考えた跡があるからです。
ガクチカの文章は、5段階の順にそのまま並べれば組み上がります。最後に1行、この経験で身についた動き方(「まず数字で現状を測る」など)を足すと、入社後の姿につながります。
まとめ:ガクチカになるのはアプリではなく、検証の記録
| 段階 | 結論 |
|---|---|
| 課題発見 | 自分が当事者として関われる小さな面倒を選び、今の状態を数字で測る |
| 仮説立案 | 「原因は〇〇なので、△△すれば数字がいくつになる」と1文で書く |
| 要件定義 | 細部はAIに書かせる。決めるのは使う人・必須機能・作らないもの |
| 開発 | VS Code と無料のAIで足りる。1機能ずつ作って、その都度動かす |
| 結果・分析 | 同じ数字を測り直し、外れた理由と次の一手まで書く |
AIが作業を肩代わりしてくれるぶん、残るのはあなたが何を考えて決めたかだけです。 そこを記録しておけば、2週間はそのまま語れる経験になります。
できあがったガクチカを面接で話す準備は、就活の面接対策の進め方で、AIを使った模擬面接まで手順にしてあります。
よくある質問
本当にプログラミングを一度も書いたことがなくてもできますか?
できます。この記事の手順では、コードはAIが書き、あなたがやるのは「何を作るかを決める」「動かして確かめる」「エラーをAIに貼る」の3つです。ただし、出来上がったコードの中身を一言も説明できない状態は避けてください。面接で「どういう仕組みですか」と聞かれたときに、ファイルの役割くらいは答えられるよう、完成後にAIに解説させておくと安心です。
無料のAIツールだけで足りますか?
1画面で完結する小さなツールなら、VS Code と GitHub Copilot Free の組み合わせで作れます。無料枠には月ごとの回数制限があるので、1機能ずつまとめて頼み、雑談的なやり取りで回数を使わないのがコツです。学生は GitHub Education の認証を通すと有料プランを無料で使える場合があるので、先に確認してください。
AIに作らせたものをガクチカにして、ずるいと思われませんか?
隠さず「AIにコードを書かせた」と言ってください。企業の現場でもAIを使った開発は当たり前になりつつあり、使ったこと自体は減点になりません。評価が分かれるのは、自分の判断がどこにあったかです。課題の選び方、要件の線引き、結果の読み方を自分の言葉で話せれば、AIを使ったことはむしろ強みとして伝わります。
結果が思ったほど出なかった場合はどうしますか?
そのまま書いてください。仮説が外れた理由を分析して、次に何を変えるかまで言えれば、成功した話より深掘りに強いガクチカになります。避けるべきなのは、数字を盛ることと、測っていないのに「好評でした」で締めることです。
IT企業以外の志望でも使えますか?
使えます。この記事で語るのは技術ではなく、身近な課題を見つけて数字で確かめた経験です。営業・企画・事務のどの職種でも「現状を測り、手を打ち、結果を見て直す」動きは求められます。IT企業を受ける場合は、要件定義で何を削ったかを話すと、職種への理解として伝わりやすくなります。



