机に資料を山積みにしたまま、試験時間が残り少ない時計を見ている学生

持ち込み可の試験ほど落とす|「覚える」から「引ける」へ準備を変える

シラバスで「持ち込み可」を見つけて安心した経験があるなら、そこが分かれ目です。持ち込みを許す教員は、調べれば分かることを出題から外します。減るのは暗記量で、増えるのはその場で考える量です。

「持ち込み可」を見て安心した時点で、準備が止まる

シラバスや試験の連絡に「持ち込み可」と書いてあると、多くの人はその科目の優先度を下げます。覚えなくていいなら、直前でも何とかなると考えるからです。

ここが落とし穴です。持ち込み可の科目で単位を落とす人は、知識が足りなかったのではなく、時間が足りなくなって解答欄が埋まらなかったというパターンが多い。試験時間の大半を、資料のどこに書いてあるかを探すことに使ってしまいます。

安心した瞬間に準備をやめてしまうので、当日はじめて資料を開くことになる。それが一番遅い状態です。

ハル

持ち込み可なんだから、レジュメ全部持っていけば余裕でしょ。

ミオ

その「全部」って何ページある?

試験90分で、1問ごとに探してたら間に合わないと思うけど。

教員が持ち込みを許すと、出題が変わる

なぜ持ち込みを許すのか、出す側から考えると分かりやすくなります。

持ち込みを認めた時点で、「用語の定義を書け」のような問題は成立しなくなります。全員が同じ正解を写せてしまい、差が付かないからです。差が付かない問題は、成績を出す道具として使えません。

そこで出題は、資料を見ても即答できない形に寄ります。

  • 複数の回で扱った内容を組み合わせて説明させる
  • 授業で扱っていない事例を出して、習った枠組みで分析させる
  • 立場を選ばせて、根拠を挙げて論じさせる

いずれも、資料に答えそのものは載っていません。載っているのは材料だけです。持ち込み可とは「材料の持ち込みを許すかわりに、組み立てを見る」という宣言だと考えてください。

黒田教授

持ち込みを許すと言った時点で、私は暗記を見るのをやめている。

見るのは、その材料で何を組み立てられるかだ。

写して埋まる問題を出すほど暇ではない。

持ち込み可には2種類ある

同じ「持ち込み可」でも、何を許すかで難易度が変わります。試験の連絡が来たら、まずここを確認してください。

範囲の絞りやすさ難易度の傾向
レジュメ・配布資料のみ可絞りやすい(配られた分が上限)中。範囲が見えるので準備しやすい
教科書・参考書も可絞りにくい高。範囲が広く、組み立てを問われやすい
自筆ノートのみ可絞りやすい中。ただし何を書くかで決まる
A4用紙1枚のみ可自分で絞る必要がある高。要約する作業自体が試験の一部

自筆ノートのみ可とA4用紙1枚のみ可は、実質的に「事前に要約させる課題」です。当日の持ち物を作る過程が勉強になっているので、この形式は他人のものを借りてもほとんど効きません。

教科書可の科目を軽く見ないでください。許可される範囲が広いほど、試験は難しくなるのが基本です。

勝負になるのは「探す時間」

持ち込み可の試験で管理すべき資源は、知識量ではなく1問あたりにかけられる分数です。

90分で大問3つなら、単純計算で1問30分。そのうち探すのに10分使えば、書くのに使えるのは20分になります。探す時間を2分に縮められれば28分書ける。この差が、そのまま解答の分量と質になります。

だから準備の目標は「覚える」ではなく「引ける」です。同じ資料を持っていても、どこに何があるかを把握している人と、初めて開く人では、別の試験を受けているのに近い状態になります。

同じ資料を持っていても、探す時間の差が書ける量の差になることを示した図

持ち込む物は「索引」から作る

やることは、分量を増やすことではありません。引ける形にすることです。

  • レジュメを回ごとに通し番号で並べ、各回の主題を1行で書き出す
  • 授業で複数回出てきた語を拾い、その語が出るレジュメの番号を書く(これが索引になる)
  • 図・表・数式のあるページに付箋を貼る。問題で参照されやすいのはここ
  • 過去問や例題があるなら、それを解くのに何を開いたかを記録する
  • 当日と同じ資料だけで、実際に1問解いてみて時間を測る

最後の項目を飛ばさないでください。測らないと、探す時間の見積もりが必ず甘くなります。 1問解いてみて資料を探すのに15分かかったなら、その状態のまま本番に行けば埋まりません。

自筆ノートのみ可・A4用紙1枚のみ可の科目では、この索引づくりがそのまま持ち込み物になります。書き写す作業ではなく、何を捨てるかを決める作業だと考えてください。

前日にやること・やらないこと

残り1日で優先順位を付けるなら、次の順です。

やること。 索引を作る。授業で教員が「ここは重要」「試験に出す」と言った箇所を拾い直す。図と表の意味を自分の言葉で説明できるか確かめる。持ち込む資料の並び順を固定して、当日その順で机に置けるようにしておく。

やらないこと。 教科書を最初から読む。持ち込む資料を増やす。きれいなまとめノートを新しく作る。

3つとも、時間がある人には有効ですが、前日にやると探す時間を減らす作業に手が回らなくなります。持ち込み可の試験では、資料が増えるほど当日は遅くなります。

残り時間が本当に少ないときの詰め方そのものは、大学のテスト・レポート対策に書いています。あちらと合わせて読むと、範囲の絞り方から当日の運用までつながります。

ハル

……とりあえず全部持っていく、をやめるところからか。

試験の形式が分からないときは、シラバスに戻る

持ち込みの可否や範囲が曖昧なまま準備を始めると、方向を間違えます。

まずシラバスの成績評価欄を見てください。定期試験の比率が高いのか、平常点やレポートで大半が決まるのかで、この試験にかけるべき時間そのものが変わります。持ち込み可の試験に3日かけたのに、その科目の試験配分が30%しかなかった、ということは普通に起こります。

シラバスのどこを見るかは楽単の探し方に、評価の仕組み全体は大学の単位の取り方にまとめています。

書かれていないときは、教員に聞いて構いません。持ち込みの範囲は受験条件そのものなので、聞かれる前提の情報です。曖昧なまま当日を迎えて、持ち込めない物を持ってきたと言われるほうが困ります。

まとめ:持ち込み可は準備が要らない試験ではなく、準備の中身が変わる試験

持ち込みを許した時点で、教員は暗記を見るのをやめています。減るのは覚える量で、増えるのはその場で組み立てる量と、探す時間です。

論点結論
難易度簡単とは限らない。許可範囲が広いほど難しくなる
出題写して埋まる問題は出ない。材料を組み立てさせる形になる
型の違いレジュメのみ < 教科書可。自筆ノート・A4一枚は作る過程が勉強
管理する資源知識量ではなく1問あたりの分数。探す時間を削ると書ける量が増える
準備分量を増やさない。索引を作り、1問解いて時間を測る
前日やる=索引・重要箇所の拾い直し/やらない=教科書の通読・資料の追加
形式が不明シラバスの成績評価欄に戻る。書いていなければ教員に聞く

同じ資料を持っていても、引ける人と初めて開く人は別の試験を受けています。 持ち込み可で落とすのは知識ではなく、時間です。

締切が迫っている状態からの立て直しは大学のテスト・レポート対策、出席や課題を含めた単位の組み立て方は大学の単位の取り方を参照してください。

よくある質問

持ち込み可の試験は簡単ですか?

簡単とは限りません。持ち込みを許すと「調べれば分かること」を出題する意味が無くなるため、その場で組み立てさせる問題に切り替わるのが普通です。暗記量は減りますが、考える量と書く量は増えます。準備が要らない試験ではなく、準備の中身が変わる試験だと考えてください。

レジュメ持ち込み可と教科書持ち込み可では、どちらが難しいですか?

一般には教科書持ち込み可のほうが難しくなります。レジュメのみなら教員が配った範囲が試験範囲の上限になりますが、教科書可だと範囲を絞る手がかりが減り、問題も「教科書のどこかを使って考えろ」という形になりやすいためです。

持ち込み可の試験には何を持っていけばいいですか?

許可されている物の中で、自分が最も速く引ける形にしたものです。分量を増やすほど探す時間が伸びるので、目次と索引を自分で作り、どの語がどのページにあるかを先に決めておいてください。読み込んでいない資料は、当日は開く時間がありません。

持ち込み可なら勉強しなくても大丈夫ですか?

その前提で臨むと時間切れになります。持ち込み可の試験で足りなくなるのは知識ではなく時間です。どこに何が書いてあるかを体が覚えている状態と、当日初めて開く状態では、1問あたりにかかる時間が大きく違います。

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